スペインサッカー留学、どのクラブを選ぶ?プロクラブの名前より大切なこと
「せっかくスペインへサッカー留学するなら、有名なプロクラブで練習したい」
「できるだけカテゴリーの高いチームに入った方が成長できるのでは?」
そう考える選手や親御さんは多いと思います。
もちろん、憧れているクラブの施設でトレーニングしたり、レベルの高い選手たちの中に入ったりすることには価値があります。
でも、スペインで長くサッカーに関わってきた僕は、
プロクラブだから。
有名だから。
カテゴリーが上だから。
という理由だけで留学先を選ぶことは、あまりおすすめしていません。
なぜなら、スペインサッカー留学で本当に大切なのはクラブの名前ではなく、
その選手が、その環境でしっかり「コンペティール」できるか。
だと思っているからです。
スペインでよく使われる「Competir」という言葉
スペインのサッカーにいると、Competir(コンペティール)という言葉をよく耳にします。
日本語にすると「競う」「競争する」といった意味ですが、サッカーではもう少し広い意味で使われます。
相手と戦う。
自分の力を出す。
チームの中で自分の役割を果たす。
成功することもあれば、失敗することもある。
失敗しても、次のプレーでもう一度挑戦する。
僕は、そういったことも含めて「コンペティールする」と考えています。
だから留学生のクラブやカテゴリーを考えるときも、「どのクラブが一番有名か?」ではなく、「この選手が、どの環境ならしっかりコンペティールできるか?」を大切にしています。
レベルが高ければ高いほどいいわけではない
例えば、自分よりはるかにレベルの高いチームのトレーニングに参加したとします。
周りの選手は速い。
判断も速い。
プレッシャーも強い。
ボールを持った瞬間に奪われる。
最初は、そのスピードや強度を経験するだけでも大きな刺激になるでしょう。
でも、毎回ついていくだけで精一杯だったらどうでしょう。
ほとんどボールに触れない。
自分から要求する余裕もない。
自分の得意なプレーを出すこともできない。
周りについていくだけでトレーニングが終わってしまう。
それでも、「レベルの高いチームで練習した」という経験は残ります。
でも、それがその選手にとって一番いい環境だったのかは、別の話です。
「できる。でも、簡単ではない」
僕が一つの目安としているのは、
自分の力を出せる。でも、簡単ではない。
という環境です。
自分のプレーが通用する場面がある。
でも、毎回成功するわけではない。
自分からボールを要求できる。
味方からも要求される。
いい判断ができることもあれば、「もっと早く周りを見ておけばよかった」と気づくこともある。
そして、失敗したらもう一度挑戦する。
そうやって自分の力を出しながら、相手と本気で競う。
できなさすぎてもいけない。
簡単すぎてもいけない。
その選手がしっかりコンペティールできるカテゴリーやチームを探す。

僕は、それがクラブ選びではとても重要だと思っています。
レベルが合わないと困るのは、留学生だけではない
そして、ここは留学する側にも理解してほしいことです。
現地クラブのトレーニングは、留学生のために行われているものではありません。
そこには普段からそのクラブでプレーしている選手たちがいます。
監督は、その選手たちを成長させ、週末の試合に向けてチームを準備するためにトレーニングをしています。
そこへ短期留学の選手が参加させてもらう。
まず、このことを理解しなければいけません。
もし明らかにレベルの合わない選手が入れば、困るのは本人だけではありません。
練習のテンポが落ちることもある。
本来成立するはずのトレーニングが成立しなくなることもある。
一緒に組んだ選手が、普段と同じ強度でプレーできなくなることもあります。
留学生にとっては特別な一日かもしれません。
でも、現地の選手たちにとっては、大切な日常のトレーニングです。
だから、「自分が高いレベルを経験したいから」という理由だけで、どんなチームにも参加していいわけではありません。
留学生にとって意味のある環境であること。
そして、受け入れるチームにとっても適切なレベルであること。
その両方を考えることが、現地クラブへのリスペクトだと思っています。
スペインの子どもたちも、最初からプロクラブにいるわけではない
ここで、日本の選手や親御さんに知ってほしい、スペインサッカーのリアルがあります。
それは、プロクラブがサッカーのスタート地点ではないということです。
今、プロクラブのカンテラでプレーしている選手を見ると、最初からエリートの環境で育ってきたように見えるかもしれません。
でも、多くのスペインの子どもたちは、まず自分が住んでいる街や地域のクラブからサッカーを始めます。
そこでトレーニングをする。
週末に試合をする。
その中で活躍する。
評価されれば、よりレベルの高いクラブへ移る。
そこでまた競争する。
さらに評価されれば、プロクラブから声がかかることもある。
街クラブから少しずつステップアップしていく。
これはスペインでは、ごく普通にあることです。
つまり、プロクラブは必ずしも「始まり」ではありません。
競争を続けていった先にある場所でもある。
だから僕は、日本からスペインへ来る選手にも、
「最初からプロクラブに入らなければ意味がない」
とは考えてほしくありません。
留学だから、いきなり近道をする必要はない
日本からスペインへ来るとなると、
「せっかく高いお金を払って行くのだから、プロクラブで練習したい」
と思う気持ちも分かります。
でも、留学だからといって、いきなりスペインの育成の階段を飛ばすことが、その選手のためになるとは限りません。
街クラブでもいい。
日本では名前を聞いたことのないクラブでもいい。
そこで自分の力を出せる。
現地の選手たちから一人の選手として扱われる。
ボールを要求する。
味方からも要求される。
相手と本気で競う。
そして、「ここでは通用した。では、もう一つ上ではどうだろう?」となれば、次へ挑戦すればいい。
スペインの選手たち自身が、そうやってステップアップしています。
日本から来る選手だけが、いきなり一番上から始める必要はありません。
「プロクラブのカンテラ」という言葉だけで判断しない
そして最近のスペインサッカー留学では、もう一つ知っておいてほしいことがあります。
それは、
「プロクラブの名前がついている=そのクラブのトップレベルの競技育成組織に入る」
とは限らないということです。
プロクラブには、将来トップレベルを目指す選手たちが競争している育成組織があります。
一方で現在は、それとは別にスクールやアカデミー、海外選手を対象としたプログラムなどを運営しているクラブもあります。
もちろん、そうしたスクールやアカデミーにも、それぞれの目的や価値があります。
初めてスペインのサッカーを経験する選手にとって、そうした環境が合っている場合もあります。
問題なのは、その違いを知らないまま「プロクラブのカンテラでプレーできる」と思ってしまうことです。
クラブの名前は同じ。
エンブレムも同じ。
ユニフォームも同じ。
でも、中身まで同じとは限りません。
特に海外から費用を払って参加するプログラムでは、クラブの競技育成部門とは別のスクールやアカデミーなどで受け入れるケースもあります。
だから、「プロクラブだからレベルが高い」「有名クラブのロゴがついているから安心」と、名前やエンブレムだけで判断しないことが大切です。
「どこのクラブ?」より「どのチーム?」
だから留学会社やコーディネーターへ相談するときには、
「どこのクラブで練習できますか?」
だけではなく、
「そのクラブの、どのチームですか?」
まで聞いてほしいと思います。
そのチームはどのカテゴリーなのか。
Alto Rendimiento(本当のカンテラ)、スクールやアカデミーなのか。
短期留学生は、普段どのような形でトレーニングへ参加するのか。
そして何より、「自分のレベルなら、どの環境が一番合っているのか?」
を聞いてみてほしい。
同じ「プロクラブでトレーニング」という言葉でも、ここまで聞けば中身がかなり見えてきます。
プロクラブでなくても、いい環境はたくさんある
スペインには、日本ではほとんど名前を知られていないクラブがたくさんあります。
でも、名前を知らないからレベルが低いわけではありません。
いい指導者がいる。
いい選手がいる。
育成年代で高いレベルのリーグを戦っている。
そして何より、その日本人選手がしっかりトレーニングに入り、現地の選手たちとコンペティールできる。
それなら、有名なクラブの名前がついた環境より、その選手にとって価値のある経験になることもあります。
大切なのはエンブレムではありません。
誰と、どんな強度で、何を目的にトレーニングするのか。
そして、自分がその中でしっかりコンペティールできるのか。
僕は、そこを見てほしいと思っています。
選ぶ側にも、最低限の知識を持ってほしい
これからスペインサッカー留学を考える選手や親御さんには、留学会社やコーディネーターにすべてを任せるのではなく、最低限の知識を持って相談してほしいと思っています。
これは、
「留学会社を信用してはいけない」
という意味ではありません。
むしろ、少し知識を持っているだけで、相談するときの質問が変わります。
「有名なプロクラブで練習できますか?」ではなく、
「どのチームで練習しますか?」
「どのカテゴリーですか?」
「普段はどんな選手たちと練習しますか?」
「Alto Rendimientoですか?スクールやアカデミーですか?」
「この選手のレベルなら、どの環境が一番合っていますか?」
そういう質問ができるようになります。
クラブの名前を買うのではなく、その中身を理解して選ぶ。
僕は、それがとても大切だと思っています。
「どこのクラブに行ったか」より「そこで何をしたか」
サッカー留学から帰ってくると、
「どこのクラブで練習したの?」
と聞かれることがあると思います。
有名なクラブ名を答えられれば、分かりやすいかもしれません。
でも僕なら、それ以上に、「そこで何ができた?」と聞いてみたい。
ボールを要求できたのか。
自分の得意なプレーを出せたのか。
何が通用したのか。
何が通用しなかったのか。
現地の選手と本気で競えたのか。
失敗したあと、もう一度挑戦できたのか。
そういう経験の方が、その後の選手に残ると思っています。
プロクラブの名前に留学するのではない
スペインの子どもたちだって、最初からプロクラブにいるわけではありません。
街のクラブから始まり、そこでプレーし、評価され、次のステージへ進んでいく。
だったら、日本から来る選手だけが、いきなり一番上から始める必要はありません。
今の自分がしっかりコンペティールできる場所から始めればいい。
そこで通用したら、次へ行けばいい。
そこでまた競争すればいい。
プロクラブの名前やカテゴリーの高さだけで、留学の価値が決まるわけではありません。
選手本人がしっかりコンペティールできること。
受け入れてくれるチームのトレーニングの質を損なわないこと。
そして、クラブの名前やロゴではなく、実際に誰と、どんな環境でサッカーをするのかを見ること。
「どこのクラブに行ったか」ではなく、「そこでどれだけコンペティールできたか」。
プロクラブの名前やエンブレムに留学するのではありません。
サッカーをしに、スペインへ来る。
僕は、それがスペインサッカー留学で知っておいてほしい「リアル」だと思っています。
[まずは話してみる]



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