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スペインサッカー留学で本当に上手くなる?「行けば成長する」とは限らない理由

執筆者の写真: Ryota Ikeda
Ryota Ikeda
9月24日
読了時間: 7分

「スペインにサッカー留学したら、上手くなりますか?」

これも、僕たちがよく聞かれる質問のひとつです。

せっかく時間とお金をかけてスペインまで行くのであれば、当然、サッカーが上手くなって帰ってきてほしい。

親御さんがそう思うのも当然だと思います。

でも、この質問に対する僕の答えは、少し期待とは違うかもしれません。

スペインに来ただけで、サッカーが上手くなるわけではありません。

スペインのクラブで練習した。

スペイン人選手と一緒にプレーした。

有名なクラブの施設へ行った。

それだけで自動的に選手として成長するのであれば、スペインにいる選手はみんなプロになっているはずです。

もちろん、そんなことはありません。

では、わざわざスペインまでサッカーをしに来る意味はどこにあるのでしょうか。

僕はスペインサッカー留学を、「上手くしてもらう場所」ではなく、「自分が成長するための材料を見つける場所」として考えることが大切だと思っています。


「スペインに行くこと」が目的になっていないか

サッカー留学について話していると、ときどき「スペインへ行くこと」そのものが目的になっているように感じることがあります。

もちろん、海外へ挑戦すること自体は素晴らしい経験です。

でも、

「スペインのクラブで練習した」

「スペイン人と試合をした」

「〇〇というクラブへ行った」

という事実だけで、選手として何かが変わるわけではありません。

大切なのは、

そこで何を感じたのか。

そして、自分に何が足りないと気づいたのか。だと思っています。

日本では問題なくできていたプレーが、スペインでは通用しないかもしれない。

逆に、日本で身につけてきたものがスペインでも十分通用することもあります。

その両方を自分自身で経験することに意味があります。


日本ではできていたことが、できなくなる

スペインへ来た選手が最初に戸惑うことのひとつが、環境の違いです。

例えば、ボールを持つ時間。

日本では余裕を持ってコントロールできていた選手が、スペインではボールを受けた瞬間に相手からプレッシャーを受ける。

日本ではドリブルで抜けていた相手を、簡単には抜けない。

球際でボールを奪ったと思ったのに、相手に身体を入れられて取り返される。

味方から要求される。

自分からボールを要求しなければ、なかなかパスが来ない。

スペインでのトレーニング。実際に違う環境へ入ることで、自分に通用するもの、足りないものが見えてきます。
スペインでのトレーニング。実際に違う環境へ入ることで、自分に通用するもの、足りないものが見えてきます。

言葉が分からないからと黙っていても、周りは待ってくれません。

こういう環境に入ると、「自分は何ができて、何ができないのか」が、かなり分かりやすくなります。

これは、海外へ出る大きなメリットのひとつだと思っています。


「日本と違う」=「スペインの方が正しい」ではない

ここは、とても大切なところです。

スペインへサッカー留学すると、

「スペインではこう言われた」

「日本ではこんなことを教わらなかった」

という経験をすることがあります。

だからといって、スペインのサッカーがすべて正しく、日本のサッカーが間違っているわけではありません。

僕自身、長くスペインのサッカーを見ていますが、日本人選手の良さを感じることもたくさんあります。

技術。

真面目さ。

練習への取り組み方。

細かいことを繰り返し続けられる力。

スペインへ来たからこそ、日本で身につけてきたものの価値に気づくこともあります。

大切なのは、

「スペインの方が上」

と考えることではなく、

「なぜ違うんだろう?」

と考えることです。

その違いを自分なりに理解して、自分のサッカーに取り入れられるものを持ち帰る。

それができれば、スペインへ来た意味は大きくなると思います。


指導者が全部教えてくれるわけではない

日本から来た選手の中には、最初は少し戸惑う選手もいます。

「次は何をすればいいですか?」

「どこにいればいいですか?」

「これはどうやればいいですか?」

もちろん、分からないことを質問するのは大切です。

でもサッカーでは、すべての状況について誰かが答えを教えてくれるわけではありません。

試合になれば、状況は一瞬一瞬変わります。

相手も変わる。

味方も変わる。

スペースも変わる。

その中で、見る。考える。判断する。そしてプレーする。ということが求められます。

海外へ来ると、言葉も環境も違うので、今まで以上に自分で状況を見なければならなくなります。

僕は、これもサッカー留学の大きな価値だと思っています。


言葉が分からないことも、ある意味ではトレーニングになる

スペイン語が分からないことを心配する選手や親御さんも多いです。

もちろん、言葉は分かった方がいい。

長期でスペインに来るのであれば、スペイン語を勉強することはとても重要です。

ただ、短期留学の場合、最初からスペイン語を完璧に話せる選手はほとんどいません。

では、言葉が分からなければ何もできないのか。

そんなことはありません。

周りを見る。

指導者のジェスチャーを見る。

他の選手が何をしているかを見る。

分からなければ自分から聞きに行く。

知っている単語を使って伝えてみる。

サッカーでは、言葉以外から情報を得ることもたくさんあります。

言葉が分からない環境に入ることで、「誰かに説明してもらうのを待つ」のではなく、「自分から情報を取りに行く」ようになる選手もいます。

これも日本ではなかなか経験できないことのひとつです。


一番大切なのは、帰国してからかもしれない

僕は、短期のスペインサッカー留学で一番大切なのは、実は日本へ帰ってからかもしれないと思っています。

1週間や2週間スペインでプレーしただけで、技術が劇的に変わることはありません。

でも、

「もっと判断を速くしないといけない」

「ボールを持っていないときに、もっと周りを見ないといけない」

「身体の使い方を変えたい」

「もっと自分から要求しないといけない」

「スペイン語を勉強して、次に来たときはもっとコミュニケーションを取りたい」

そんな課題を一つでも持って帰ることができれば、その後の練習は変わります。

そして半年後、1年後。

その積み重ねが選手を変えていく。

だから僕は、「スペインに何日いたか」より、「スペインから何を持って帰ったか」の方が大切だと思っています。


スペインに来れば上手くなる、とは言えない

僕たちは、

「スペインへ来れば絶対に上手くなります」

とは言いません。

そんなことは誰にも約束できないからです。

同じクラブで、同じトレーニングをしても、選手によって得るものは違います。

ただ、自分とは違うサッカーの中に入ることで、

今まで気づかなかった自分の長所に気づく。

自分の弱点に気づく。

日本では当たり前だと思っていたことを考え直す。

もっと上手くなりたいと思う。

そういう「気づき」を持って帰ることはできます。

そして、その気づきを帰国後の毎日のトレーニングにつなげることができれば、スペインで過ごした数日間や数週間は、その後の成長につながっていくと思います。


「スペインへ行った」で終わらせない

スペインサッカー留学は、ゴールではありません。

むしろ、その後のスタートになるものだと思っています。

「スペインでサッカーをした」

という経験を一つ増やすことより、スペインで何を感じて、何に気づいて、帰ってから何を変えたのか。僕は、そこにサッカー留学の本当の価値があると思っています。

だから、スペインへ来る前に、

「どこのクラブへ行けますか?」

だけではなく、「自分はスペインで何を知りたいんだろう?」ということも少し考えてみてほしい。

そして帰国するときに、「次に何をすればいいのかが、来る前より少し分かった」と思えたなら、そのスペインサッカー留学には十分意味があったのではないでしょうか。


 
 
 

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